ワーママ弁護士奮闘記in東京

仕事と子育てに奮闘する、ワーママ弁護士のブログです。生きてりゃもう御の字。

ロイヤルリムジンに感じる気持ち悪さ(お家再興じゃなくて、会社の倒産ですけど)

4月初旬、新型コロナウイルスの影響により、ロイヤルリムジン株式会社が、全従業員約600人を全員解雇したというニュースが流れた。

  

報道によると、ロイヤルリムジンの社長は、従業員に対し、以下のようなメッセージを送ったそうだ。

 

「必ず生き残り、皆さまの職場を完全に復旧できるように、私の人生をかけて戦います。そして完全復旧した暁には、みんな全員にもう一度集まっていただき、今まで以上に良い会社を作っていきたいと思います。」

 

社長の必死の思いの伝わる熱いメッセージ。

・・・のようにも見える。

実際一時期、ロイヤルリムジンの解雇は「美談」としてもてはやされた、

 

しかし、そもそも従業員を全員退職させて、法人格だけ存続させることに、何の意味があるのか?

キツイ言い方をすれば、従業員にとって、給料を払ってくれない「会社」が存続し続けて何の意味があるのだろうか?

お家再興?忠臣蔵の世界??従業員は家臣ではありません。

 

社長や経営陣としては、法人格や、その資産(車両、事務所、営業許可等々)を残しておかないと、新型コロナウイルス収束後、速やかな事業再開が不可能になってしまう、だから、従業員を一時解雇しても「会社」はつぶすわけにはいかない、と考えたのかもしれない。

 

が、が、従業員からしたら、そんなの知ったこっちゃなくない?

「私の人生をかけて戦」うって言われても、「そりゃ、あんたの会社だからね、あんたの人生かけて頑張ってよね、でも私の人生巻き込まないでよね」って白けちゃわない?

従業員にとって一番大切なのは、「ロイヤルリムジンで」働くことではなくて、どこかで働いて「生活費を稼ぐ」ことなんじゃないのか。

 

「完全復旧した暁には、みんな全員にもう一度集まっていただき」と言われたところで、新型コロナウイルスの収束時期も見えない中、そもそも完全復旧できるのかなんて誰にもわからない。

復旧するのか否か、するとしていつなのかもわからないけれど、その間国から失業保険をもらって凌いでくれ、でもって会社が復旧したら戻ってきてくれ(日本人手不足だからな!)…なんて都合のいい話じゃなかろうか。

 

会社と従業員との間には、雇用契約、つまり、労務を提供してお金をもらう/払うという契約関係があって、それが基本。

それ以上に家族的なお家的なものを求めるんだったら、「パンは1個しかないけどみんなで分け合いましょう」みたいな、親子間の生活保持義務的な義務を会社に負わせなきゃおかしいんじゃなの?

  

「会社」って何のためにあるのか。「会社」って誰のために存在するのか。考えさせられる事例だと思いました。